2018年11月21日、弊社団の代表理事菅原直敏が、東洋大学白山キャンパスにて、テーマ:ソーシャルワーカーの役割とソーシャルアクションの実際をテーマに講義をしました。
菅原自身が、ソーシャルワーカーによるソーシャルアクションとして行なっているパブリテックの取り組みについてもお話ししました。菅原は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士の国家資格を持ち、ソーシャルワーカーとして様々な現場で活動をしています。
パブリテックは、テクノロジーで人々をエンパワメントするという定義からもわかるように、その活動自体にソーシャルワークの理論が随所に盛り込まれています。
特に、社団は様々な人たちのソーシャルキャピタル(社会関係資本)によって共創されています。
ご参加頂いた学生の皆さん、素敵な場をアレンジして頂いた、本多勇先生(大学教授、社会福祉士、保育士)に感謝申し上げます。
学生からは、以下も含めて、前向きに進んでいきたいというお声を多数頂きました。
- 「小さな成功体験を重ねて、小さな一歩から大きな波を作っていけたらと感じました。」
- 「自分は何のために大学にきているのかわからないなと感じていたのですが、ちょっと頑張ろうと改めて感じました。」
- 「どのような道に進んでも福祉を活かせるようなんでも学んでいきたいと思います。」
- 「とりあえず動くという気持ち、勢い?心意気はとても共感した。動こうと思います。」
- 「ソーシャルアクションの方法があるのだと知って、自分も、柔軟に考えたら、何かできる可能性があると思いました。」
- 「菅原さんは若い人と出会って、1cmでも変えたいとおっしゃっていましたが、変えてもらえました。」
- 「ソーシャルワーカーは人々の幸福をデザインする、人々が幸福に過ごせる社会をデザインする仕事なのかなと思います。」
- 「パブリテックかっこいいです。」
講義の内容
- ソーシャルワーカーの役割
- ソーシャルワークとは?
- 定義…ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。(ソーシャルワーク専門職のグローバル定義:IFSW)
- 日本のソーシャルワークの課題・論点
- 社会福祉士≠ソーシャルワーカー
- 相談援助職≒ソーシャルエージェント
- 実践至上主義→理論軽視の傾向
- メッセージ1
- 「理論と実践を繋げよう」
- ソーシャルアクション
- ソーシャルアクションとは?
- 定義…ソーシャルワークにおけるソーシャルアクションとは、生活問題やニーズの未充足の原因が社会福祉関連法制度等の社会構造の課題にあるとの認識のもと、社会的に不利な立場に置かれている人びとのニーズの充足と権利の実現を目的に、それらを可能にする法制度の創設や改廃等の社会構造の変革を目指し、国や地方自治体等の権限・権力保有者に直接働きかける一連の組織的かつ計画的活動およびその方法・技術である。その主なモデルには、デモ、署名、陳情、請願、訴訟等で世論を喚起しながら集団圧力によって立法的・行政的措置を要求する闘争モデルと、多様な主体の協働による非営利部門サービス等の開発とその制度化に向けた活動によって法制度の想像や関係等の構造の変革を目指す協働モデルである。(高良麻子による定義)
- 日本のソーシャルアクションの課題・論点
- ソーシャルアクションの担い手不足
- ソーシャルアクションの体系的学問の欠落
- ソーシャルアクションの実践事例の不足
- メッセージ2
- 「既存の枠組みを抜け出そう」
- 日本のソーシャルアクションの現状と展望
- 日本のソーシャルアクションの現状
- 富山型デイサービス(1993年〜、看護師、惣万佳代子氏他)
- DV防止法(2001年〜、市民団体)
- ハッピーの取り組みの取り組み(2015年〜、ソーシャルワーカー)
- 日本のソーシャルアクションの展望
- 多様化する社会へのソーシャルアクションの必要性
- 福祉職だからできるソーシャルアクション
- ソーシャルアクションのさらなる体系化と実践〜共創かまくらプロジェクト、津南町パブリテックプロジェクト、一般社団法人Publitech
- メッセージ3
- 「ソーシャルアクションへの一歩を踏み出そう」
結論:ソーシャルアクションこそソーシャルワークの醍醐味
- 参考文献
- 高良麻子『日本におけるソーシャルアクションの実践モデル 「制度からの排除」への対処』中央法規出版、2017年
- DVD法を改正しよう全国ネットワーク『女性たちが変えたDV法−国会が「当事者」に門を開いた365日』新水社、2006年
- 菅原直敏他3名『まちづくり☆無限大・デイサービスとレクリエーションからの挑戦』相川書房、2015年